【アスリートの皆様へ】試合前後のコンディショニング・後編 | 2020/07/22

【豪雨被害に遭われた皆様へ】

この度の豪雨により被害に遭われた皆様ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。
私どもで何かお役に立てることがありましたら、遠慮なくお申し付けください。

マスト整骨院・鍼灸院 スタッフ一同


試合後のコンディショニング

クーリングダウン(クールダウンともいう)

目的

  1. 疲労回復(リカバリー)
  2. 外傷・障害の予防

効果

①疲労回復への切り替え

運動によって筋肉の中に疲労物質が貯まります。この疲労物質をどれだけ早く処理できるかで、次のトレーニングや試合のパフォーマンスに影響が出ます。
素早く処理するためには、安静より積極的に軽い運動を行った方が良いことが分かっています。
また、激しい運動後に急に停止すると、体内を激しく流れていた血液が心臓に戻りにくくなり、脳への血流が不足して、めまい、吐き気、失神、過換気状態などが起こることがあるため、体に負荷がかからない程度の軽い運動で筋肉を収縮させて、血液を循環させることでめまいなどを防止することができます。
加えて、運動中は交感神経系が激しく興奮しており、エネルギー消費が増大しています。
これを止めるためには、交感神経系の興奮を抑える必要があり、体温を通常状態に戻すことで、無駄なエネルギー消費を抑えることができ、体力の消耗を防げます。

②筋肉の柔軟性、関節可動域の回復

運動後は筋肉が前後左右でアンバランスな状態になっています。
筋肉を激しく使ったことで、筋肉は硬くなり、関節可動域は狭まります。
ストレッチングなどで筋肉の柔軟性を運動前の状態に戻すことで、疲労回復や外傷・障害の予防につながり、さらに運動直後の体温が高い状態で行うことで柔軟性が向上する効果もあります。

方法

  1. 楽と感じる程度のジョギング(最低でも5分)
  2. スタティックストレッチ

疲労回復方法

筋肉に負荷をかければ、必ず小さな傷ができます。
その傷が完全に回復しないうちに次の負荷をかけると、傷が積み重なって大きな外傷・障害へと発展していきます。
すると、ケガをした選手は練習ができなくなっていき、競技能力の向上が遅れ、チームとしても戦力ダウンになるため、被害を最小限にするためにもリカバリーこそ全力で取り組むべきです。
リカバリーの基本は、十分な睡眠とバランスの取れた食事です。

睡眠

睡眠不足は、疲労感をもたらし、情緒を不安定にし、適切な判断力を鈍らせます。
オリンピック選手の平均睡眠時間は8時間半というデータもあります。
しかし、ただ長く寝れば良いという訳ではなく、睡眠の質を高めることが重要です。
睡眠によって、成長ホルモンの分泌が促進され、筋肉は修復し、身長は伸び、体の成長へとつながっていきます。

食事

食事は、トレーニングで失われた栄養素(エネルギーやビタミン、ミネラルなど)を取り戻し、疲労の回復を促し、トレーニング効果を高めてくれます。

食事は必要なエネルギー量と各栄養素を過不足なく含んで「バランスよく食べましょう」。
「おいしく楽しくリラックスして」食べることにより、心身の疲労回復にもつながります。
栄養補助食品(サプリメントなど)は食事ではとりにくい栄養素を簡単に摂取できますが、特定の栄養素に偏りやすく健康問題へと発展する場合や、アンチ・ドーピングの観点からも、18歳以下の選手は医学的に必要な場合を除いて使用すべきではありません。
栄養補給の基本的な形はあくまでも「料理」です。
また、欠食はやめましょう。

その他

アイシング

捻挫や打撲で行うRICE処置とリカバリーで行うアイシングは目的が異なります。
リカバリーを目的とする場合、筋肉や神経を冷やすことにより、
①余分なエネルギー代謝や代謝産物、過剰な炎症を抑制できること、
②血管が収縮・拡張による疲労物質の除去を促進すること
を狙ってアイシングを行います。
体温が高い状態だと、炎症状態を助長するだけでなく、全身の疲労感や倦怠感を高め、精神的ストレスとなってしまいます。
体温が高く全身の疲労が問題の場合は全身を冷却する必要があります。

アイスバス(冷水浴や交代浴など)

短期決戦では少ないリカバリー期間でハイパフォーマンスを発揮することが要求されます。
この場合は試合直後に全身を冷やした方が良いとされており、氷と冷水を入れたバケツ(水温10~15℃)に15分程度体を浸す方法で、脚全体や全身を短時間で効率よく冷却できます。
自宅などの風呂場で行う場合は、40℃前後にお湯に10分浸かった後、水のシャワーを数分間あてることを繰り返すことで、血行を促進させ回復が早めることができます。

アイスパック

氷のうやビニール袋に氷を入れて、局所を冷却する方法です。
この時、なるべく空気を抜くことで皮膚と氷との接触面積が大きくなり、冷却効率が上がります。
また、アイシング直後にストレッチングを行う方法もあり、柔軟性向上に効果的です。
付け加えて、保冷剤は温度が低くなり過ぎてしまうため、アイシングには適しません。

ストレッチング

ストレッチングによる筋肉の伸張により、筋肉の柔軟性や疲労が改善し、筋力のアンバランスを整えるのに効果的です。
ただし、痛みを伴う程の炎症や疲労がある場合は、無理に行なってはいけません。

スタティックストレッチング

反動や弾みを付けずに筋肉をゆっくり伸ばして、伸ばした状態を維持する静的なストレッチング方法でリカバリーに適しています。
30秒程度はその姿勢を維持することが望ましいとされています。

スポーツマッサージ

スポーツマッサージはパッシブリカバリー(消極的回復)と呼ばれ、ストレッチングなどの補助的な位置付けです。他のリカバリー法をせずに、スポーツマッサージだけ受けても効果はありません。
スポーツマッサージは筋血流量を増加させ、筋疲労の回復を促進させる目的で行います。
試合前に精神的緊張を取り除くことを目的に最終調整として行う場合もありますが、筋肉を緩め過ぎてパフォーマンスが低下してしまう可能性があるため、理解のある施術者を選択する必要があります。

スポーツ鍼灸

スポーツ鍼灸も同じく、パッシブリカバリーな方法です。
鍼灸がマッサージと異なるところは、外傷・障害の治療・回復に即効性があり、治療的要素が大きいということです。痛みがある場合は一つの選択肢として検討すべきです。

最後に、最高の状態で試合に臨むために

100%以上の力を出すためには痛みのない状態で試合に臨むことです。
少しでも痛みがあれば満足な活躍はできないと思います。
なので、必ず痛みは取り除いておきましょう。
また、ストレングス&コンディショニング業界では、昔は『超回復理論』が一般的でしたが、近年では『フィットネス-疲労理論』が広がっており、トレーニングを積んで能力を向上させるだけでなく、疲労を抜くことによって、さらにパフォーマンスを引き上げることが重要であるとされています。

『フィットネス-疲労理論』の概要図

以上の知見を活用して、自身の、またはチームの状況、環境を考慮して、やるべきことを考えながら行動してください。


【参考文献】

  1. 日本スポーツ協会(2007年)公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト⑥予防とコンディショニング
  2. 河森直紀(2018年)ピーキングのためのテーパリング、ナップ
  3. 下村吉治(2010年) スポーツと健康の栄養学  第3版、ナップ

投稿日:2020年7月22日 修正加筆:2020年7月27日 投稿者:西尾

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