【Q&A】妊娠中・出産前後の施術について | 2021/01/30
妊娠中・出産前後の施術に関し、多くのお問い合わせを頂いております。お問い合わせの多い質問や相談について、当院の方針をQ&A形式でまとめましたのでご紹介いたします。施術選択のご参考にしていただけますと幸いです。より詳しい説明が必要な場合は別途お問い合わせください。
なお、妊娠・出産に関する情報は、書籍だけでなくネット上にも莫大な量の情報があり、科学的・医学的な情報だけでなく、迷信などの信憑性の低い情報が混在しています。リテラシーを高めて、確かな情報を最適な時期に取捨選択して、健康で幸福な妊娠・出産、そして子育てを行っていただけることを切に願っております。
妊娠中・出産前
Q.妊娠中でも施術を受けられますか?
A.症状にもよりますが、おおむね対応可能です。
妊娠中の「出産への悪影響はないが不快な症状」を「マイナートラブル」と呼びます。原因として、胎児の成長、ホルモンバランスの変化、生活環境の変化などが考えられます。これらは妊婦のQOLに影響することから、マイナートラブルを放っておくことは母体や胎児へのストレスとなり、様々なトラブルに繋がると考えます。なので、当院では体調に合わせた必要最低限の施術をご提案・実施いたします。
Q.医師の承諾は必要ですか?
A.整骨院や鍼灸院での施術を希望する場合、事前にかかりつけの産婦人科医や助産師に相談し、整骨院や鍼灸院での施術に関して気を付ける点はないかなどを確認してみてください。かかりつけの産婦人科医や助産師との連携のもと、施術を行わせていただきます。
なお、妊娠・出産に100%安全なものはなく、いろいろな条件や状態によって予想していなかった結果になりうることもあります。かかりつけの産婦人科医や助産師が常に状態を把握しておくことが重要と考えますので、まずはかかりつけに相談してみることをおすすめしています。
Q.妊娠何ヶ月目から何ヶ月目まで施術可能ですか?
A.一般的に安定期に入った妊娠4ヶ月目から9ヶ月目までは施術可能と言われています。
しかし、症状によっては対応可能な場合もありますので、別途お問い合わせください。特に妊娠中の鍼灸施術に関しては「マタニティ鍼灸」と呼ばれ、研究が進んでいる分野であり、ベネフィットとリスクが明確になってきていると考えます。
Q.「マタニティ鍼灸」について、詳しく教えてください。
A.マタニティ鍼灸とは妊婦を対象とした鍼灸施術全般を指し、妊娠中の各種症状を対象とします。
例えば、つわり、腰痛、こむら返り、むずむず感、足先の冷え、むくみ、肩こり、頭痛、眠気、不眠、動悸、息切れ、胃の不快感、乾燥肌、皮膚のかゆみ、そして逆子(骨盤位)などが挙げられます。また、出産前は陣痛促進として、出産中は和痛分娩として、出産後は乳汁の分泌促進、後陣痛や帝王切開術後の傷の痛みの緩和などに世界中で利用されています。薬の使用に制限がある妊婦にとって、鍼灸治療は有効な治療方法の一つとなっています。
Q.お灸で逆子が治るというのは本当ですか?
A.1950年代頃から産婦人科医らが「至陰」や「三陰交」へお灸や鍼で刺激を加えることで、逆子が直ることを報告しており、有効性は60~90%といわれています。報告のある副作用として、吐き気、やけどによる水疱や皮膚損傷、切迫早産がありますが、重篤な副作用の報告はなく、安全な方法とされています。
Q.妊娠中の美容鍼は可能ですか?
A.鍼灸の古典には、「妊娠中はみだりに鍼をしないこと」と記載されています。鍼灸刺激によって神経系や内分泌系に大なり小なり影響が出ますので、治療目的以外の施術は望ましくないと考えます。
どうしても美容鍼を受けたい場合は、かかりつけの産婦人科医や助産師に相談していただき、特段の支障はないとの判断があれば実施させていただきます。ついでながら、当院では妊婦への美容鍼を施した実績がありますことを付け加えます。
出産後について
Q.産後何ヶ月頃から施術を受けられますか?
A.一般的に産褥期を経過した産後6~8週目頃から可能と言われています。しかし、症状しだいでは対応可能と考えますので、別途お問い合わせください。事前にかかりつけの産婦人科医や助産師に相談し、整骨院や鍼灸院での施術に関して気を付ける点はないかなどを確認してみることをおすすめしています。
Q.「産後骨盤矯正」とは何をするのですか?
A.出産によって起きた腰痛や骨盤帯痛、尿トラブルなどの様々な症状に対して行う手技による民間療法の一種です。
そもそも「骨盤矯正」というのは医学用語ではなく、整体・整骨院業界が作り出した言葉であって、骨盤周囲の筋肉調整とお考えください。当院では、出産後の骨盤周囲だけでなく、育児による身体的症状(肩こりなど)にも対応しています。
なお、巷では痩身(減量やボディメイクなど)を目的としているところもありますが、当院では痩身を目的としておりませんので、予めお含みおきください。
さいごに
近年、女性のライフステージの応じた健康問題に対して、理学療法士が運動療法などによる介入方法を検討しており、将来的には出産前後の運動療法などが保険適用になるのではないかと推察されます。また、産後ケア事業として全国の市町村に「子育て世帯包括支援センター」が順次開設されています。しかし、現時点ではこれらの動向に柔道整復師や鍼灸師が加わるという情報は調べた限りありませんでした。なので、それぞれの立場からエビデンスの構築を行い、多くの女性の健康で豊かなライフスタイルをサポートする環境構築が必要です。ウィメンズ・ヘルス分野はまだまだ発展途上であり、一筋縄ではいかない社会的課題も多く含んでいることから、社会が一体となって組んでいかなければならない問題であると認識しております。
投稿日:2021年1月30日 投稿者:西尾