【アスリートの皆様へ】試合前後のコンディショニング・前編 | 2020/07/01
今年は高校総体が中止となり、ほとんどの競技で代替大会が7月から8月にかけて開催されると思います。
およそ3ヶ月間練習できていなかったため、コンディション調整が上手くいっていないアスリートも多いと思います。
そこで今回は、試合(練習)前後に行うべきコンディショニングについて、簡単ながらまとめたので参考にしてください。
アスリートの皆さんがベストパフォーマンスを発揮でき、悔いなく、1つの区切りを迎えられるよう祈っております。
試合前
ウォーミングアップ
目的
- パフォーマンスの向上
- 外傷・障害の予防
効果
体温(筋温)上昇
筋肉の温度を上げることで、筋肉の収縮がスムーズになり、筋肉のコリ(硬さ)が改善します。
また、十分に筋温を上げてからストレッチを行うことにより、筋肉や関節の柔軟性が向上し、関節可動域が広がります。
筋温を十分に上げるには15分間はウォーミングアップを行うべきです。
逆に筋肉の温度が十分に温まっていない状態でプレイすると、パフォーマンスを発揮できないだけでなく、筋肉や関節、靭帯などに余分な負荷をかけ、外傷や障害につながります。
組織の作業効率向上
筋肉を動かすためには酸素が必要です。
十分な酸素を筋肉に取り込むためには、徐々に運動強度を上げることで、呼吸循環機能の適応を円滑にし、酸素の摂取効率が向上します。
さらに、体温が1℃上昇すると、細胞の代謝率は13%増加すると言われており、無駄なエネルギー消費が低減し、作業効率が向上します。
ただし、急激な脈拍の上昇を伴う高強度なウォーミングアップは、疲労状態につながるため、避けるべきです。
また、ウォーミングアップによって神経系の反応が向上します。
神経系の反応が良いと、身のこなしが良くなり、無駄な接触プレイを避けられ、外傷や障害の予防につながります。
方法
- 少し速いと感じる程度のジョギング
- ダイナミックストレッチ
- 競技特性に応じた仕上げ
食事
筋肉を動かす主なエネルギー源は糖質(炭水化物)です。
糖質は筋肉に蓄えられて運動で消費していきます。
なので、試合前までにトレーニングによって消耗した糖質を筋肉に蓄えることが必要です。
3~7日前は普段どおりの食事を行い、3日前~前日は普段の食事に加えて高糖質な食事を行うことで、効率よく筋肉に糖質を蓄えられます。
【💡豆知識】体内の水分が2%失われると運動パフォーマンスが低下する
人間は何もしなくても1日2L近い水分を失います。
「のどが渇いた」と感じたときには、体内の2%の水分が失われた状態です。
人間の体の中で水分が吸収されるのは「小腸」であり、水を飲んでから20~30分間は胃に停滞します。
「のどが乾いた」と感じてから水分を補給しても、体内に吸収されるのは20分後であり、手遅れになってしまいます。
なので、脱水予防のためにも、15分毎に200ml前後の水分補給を心がけましょう。
また、水分の吸収を早めるためには、水に微量の塩分と糖分を含んでいることが望ましいとされ、筋肉がつるのも防いでくれます。
加えて、2%以降の脱水は1%ごとに体温を0.3℃上昇させます。
なるべく低温の状態(5~10℃)で飲水することによって、深部体温の上昇を抑えられ、運動継続時間を延長させ、熱中症予防にもつながります。
もう一つ、熱中症は気温が高いことが原因と思うかもしれませんが、注意すべきは「湿度」です。
人間は汗をかいて、汗を蒸発させることで体温を下げます。
しかし、湿度が高いとうまく蒸発させることができず、熱が体内にこもってしまい、熱中症になります。
なので、運動後は素早く乾いた服に着替えて体温を落とし、リカバリーに努めるべきです。
詳細は、クーリングダウンの項目に譲ります。
長くなってしまったため、後半に続きます!(^^;)
【参考文献】
- 日本スポーツ協会(2007年)公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト⑥予防とコンディショニング
- 下村吉治(2010年)スポーツと健康の栄養学(第3版)、ナップ
- 河森直紀(2018年)ピーキングのためのテーパリング -狙った試合で最高のパフォーマンスを発揮するために-、ナップ
投稿日:2020年7月1日 投稿者:西尾